1.56.1という非常識

第144回天皇賞、勝ち時計1分56秒1。

「さすがにやりすぎだ」。その計時を見て、そう思った人は少なくないだろう。いよいよ入ってはいけない領域に入ってしまった気がする。これ以上はもう許しちゃいけない。本気でそう思った。

今の日本競馬の馬場設定は、世界のスポーツの潮流から見ると、なおのことその異常さが浮かび上がる。水泳界では昨シーズンからいわゆる高速水着が禁止された。F1界ではずいぶん前からエンジンの回転数が最大18000回転に抑えられている。これは人間の能力を超えた技術的、作為的な方法での記録の“演出”を否定する取り組みであり、またテクノロジーの進歩による人間の肉体的な負荷=生命の危機を抑制するためのルールである。

1.56.1を生み出した高速馬場はそのどちらからも激しく逸脱している。だから非常識極まりなく見える。

今の高速馬場、傷まない馬場は、馬場造園課の努力による技術の進歩の賜物である。だからそれそのものを否定する気はさらさらない。が。その成果を見せ付けるために人馬の生命が危機に陥ることがあってはならない。その理由が(絶対に認めることはないだろうが)単なる自己満足とかメンツというのなら、なおさらだ。そんなヤツには、まずテメェの生命を差し出せ、と強く言いたい。

とにかく。何かあってからでは遅いのだ。

今の姿勢はすぐに改めるべきだ。何もそんなに難しいことをしろと言っているわけではない。馬場の路盤はそのままでいい。その上で芝丈を例えば18~20cmにするとか。ただそれだけのことでそれを回避することができるのだ。本当にただそれだけのこと。それが、できませんか?



秋天に関して、もう1つ。

とにかく岩田の騎乗が残念だった。なぜあんなにも中途半端に前に行ったのだろう。早めに外に出そうとしなかったのだろう。正直、理解に苦しむ。

まぁ、「それが岩田」と言ってしまえばそれまでなのかもしれないけど。

先週、先々週と岩田は新馬戦で合わせて3勝。そのどれもが同じ勝ち方だった。スタートからそのまま流して行って、外目の好位に位置取り。そして直線でそのまま抜け出してくる。言ってしまえば、完全にノーストレス。競馬ではなく、馬の能力に合わせて自由に走ってきただけ―。

秋華賞の回顧で書きかけてやめたけど、岩田が乗り替わりで勝って、その次以降勝てない理由はそこにある。好きに走る“自由”を手に入れた馬が、それまでのように抑え込まれたり、馬群の中で走るという“抑圧”を望まなくなるのは、生き物の心理として当然だ。だから次に我慢を強いられたときにこれまで以上に苦しくなる(自由を手に入れて、その後苦しくなった一番の例がウオッカ)。

ブエナビスタは自由を与えてやっていい馬ではない。抑圧(折り合い)と解放(追い出し)をスイッチのオン・オフのように上手く切り替えてやった方がいい馬だ。要するに、岩田には全く合っていない馬と言っていい。

秋天の岩田の騎乗には自信の無さが窺えた。自分の騎乗の良さ(個性)を出すのではなく、馬に合わせてしっかり折り合って進めながらもヴィクトリア・マイルと宝塚記念を勝てなかったことで、いざ絶対に勝たなければいけないプレッシャーに晒されて、馬の良さを引き出すのか、自分の良さを出すことで何かを変えようとするのか、どちらを選択することもできなかった。

少なくとも、自分の眼にはそう見えた。




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2 Comments

U-KI@管理人  

>馬耳豆腐さん

ご無沙汰していますm(_ _)m

自分も、それが叶わない要求だと知りつつ、ブエナビスタにユタカを乗せてほしいと思っている一人です。

秋天の岩田の騎乗は、ブエナビスタにさらなる悲劇を重ねてくれましたね。まぁ、鞍上に泣くのは今に始まったことではないのですが…。
それが明らかな騎乗ミスであったとしても、それを受け入れて競馬が出来てしまうブエナビスタの許容範囲の広さが、実は一番の悲劇の根源なのかな(^^ゞ

私もジャパンカップあるいは有馬記念でこの名馬が新たな冠を授かることを強く願っています。

2011/11/18 (Fri) 14:12 | EDIT | REPLY |   

馬耳豆腐  

ブエナに岩田は合わない

ニセ門番さんのおっしゃるとおりです。
あの騎乗はとても褒められたものではない。
こんな名馬の最後のジョッキーが岩田になるのは若干残念です。
自分のエントリーにも書きましたが、女王としての競馬の仕方を知っている武豊に一度乗ってもらいたい馬ですね。JCでの好走を祈っている次第です。

2011/11/16 (Wed) 08:40 | EDIT | REPLY |   

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