伝説を見た

ロナウド引退に寄せて。

ロナウドを3試合、生で見たことがある。最初が02年W杯のブラジル-コスタリカで、あとは翌年のエルクラシコ@サンチアゴ・ベルナベウとチャンピオンズリーグのマンチェスター・ユナイテッド戦@オールド・トラッフォードだ。その3試合すべてで彼はボクにゴールを見せてくれた。

なかでも忘れられないのが、マンU戦でのハットトリックとなる3点目のゴールだ。

ディフェンスラインの裏に抜け出してキーパーと1対1となったロナウドは、キーパーと駆け引きするまでもなくペナルティエリアの5メートル手前からゴール右上角に完璧にコントロールしたシュートを突き刺してみせた。

信じられないものを見た気がした。
あの位置から、あんなところへ?
当時の自分にはまったく想像が追いつかないゴールだった。

その数分後、万雷の拍手の中、ピッチを後にした。アウェーのオールド・トラッフォードにもかかわらずスタンディングオーベーション、である。今度は鳥肌が立った。スタンド最上段から眺めたあの光景は今なお鮮明に覚えている。


初めて見たのは94年だった。

昨日のような2月の大雪の日。Jリーグ開幕の翌年、空前のサッカーフィーバーの中で行われた東京ドームの人工芝の上に天然芝を敷いてのプレシーズンマッチ。あまりに滑稽な画だったから忘れもしない。クルゼイロのメンバーとして来日した彼は、当時、たしかまだ17歳。にもかかわらず、その存在は完全に異彩を放っていて、たしかその試合でもハットトリックしたはずである。世界のサッカーなどまだほとんど知らない中2の私は、宇宙人にでも出くわしたかのような気持ちにさせられた記憶がある。

何だか脈絡のない話になってきたが…

1994年から2011年までの現役生活17年間で、計11度の手術を受けたのだそうだ。それだけ彼に手を焼いたディフェンダーが危険なタックルを浴びせてきた証拠であり、また、彼の才能が彼の肉体を超えていた証拠だろう。

次から次へとやってくるケガとの戦いの中で、やがてロナウドの“本気スイッチ”が入ることはほとんどなくなった。私が目撃したロナウドの伝説は、実は残り物の一部であったのであろう。でも、その残りカスでも十分に衝撃的なものであった。

ロナウド。私がこれまで見てきたサッカー選手の中で、紛れもなくNo.1の存在でした。



実は、ロナウドがハットトリックしたマンU-レアル・マドリーの話には続きがある。

その試合、ロナウドが退いた後、マドリーは逆転負けを喫するのである(2試合合計スコアで勝ち上がったから問題なかったのだが)。そして、逆転劇の主役となったのがデイヴィッド・ベッカムである。

当時のベッカムはマンU在籍最終年。ファーガソン監督に干されていたベッカムはその日もベンチスタートで、出場時間は20分程度だったように思う。だが、ラスト5分でゴール前の混戦から同点ゴールを決め、ロスタイムにはフリーキックを直接ぶち込み、試合をひっくり返して見せた。

この日のベッカムの活躍は、ロナウドとともに私の中で伝説になっている。そしてあのフリーキックの異次元のボールの軌道もまた、私は一生忘れないだろう。

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