また新たな4年が始まる 今始まりを告げる鐘の音が鳴り響く

その表情はあまりにも対照的だった。

ショートプログラムの際に非常に印象的であったことで、フリースケーティングのときにも演技前の2人の顔と仕草に注目して見ていた。そしてそれは今回もまた、多くを物語っていたように思う。

キム・ヨナのそれが、特に心に残っている。

あの表情をどう形容したらいいのだろう。緊張も欲望も、一点の曇りも感じさせない。無我の境地、とでも言うべきか。彼女が一人、辿り着いた場所があった。そんな静かで、穏やかな表情だった。

一方、真央は必死に戦っていた。

押し寄せるヨナへの喝采の中、何度も、何度も、耳にはめたイヤホンを叩きながら、集中。でも、その仕草が集中し切れていないことを何よりも雄弁に語っている。「勝負あった」。この時点でもう決まっていた、そう言っても過言ではない。




…というのを、結果を知った上で見ていた(笑)

SPのときは運良く昼休みのわずかな時間がちょうど真央とヨナのタイミングに当たったおかげでリアルタイムで観ることができたのだが、2人が最終組に入ったFSまでそんなにうまくはいかない。俺は俺で、テレビを見たい気持ちと必死で戦っていたよ(笑)。仕事へはとても集中なんてできなかったね。

とはいえ、結果を知った上で見るのもなかなか悪くないもので、FSは客観的に観ることができた。普段は一つひとつの要素の可否ばかりが気になってなかなか俯瞰的に見られずにいるのだけど。そして気づいたことが、一つ。

浅田真央の「鐘」のプログラムはものすごい。

荘厳で、崇高で。そして何より、そのメッセージ性の強さがものすごい。心に響く、なんてもんじゃない。とにかく心を強く打ちつけてくる。強く揺さぶってくるのだ。それらをたった一人ですべて発信する浅田真央は…。演技としても、人間性としても、一体どれだけレベルの高いものを求められているというのか。

残念ながら、2010年2月26日の鐘は途中で鳴り止んでしまった。だけど、途中までは自分も含めてきっと誰の心にも鳴り響いていたはずだからこそ、最後まで鐘の音が聞きたい。「鐘」のプログラムの完成形が見たい。それが、フリースケーティングで何よりも感じたことだ。


また新しい4年間が始まる。

浅田真央はこれまでの4年間も全力で走ってきたはずだ。だけどもう4年、走り続けよう。おそらくキム・ヨナがいなくなるであろうフィギュアスケート界で、もう誰しもに敵わないと思わせるほどの絶対的なヒロインとして君臨し続けよう。そしてその第一歩目が、この「鐘」のプログラムを完遂させるなのではないだろうか。

申し訳ないけど、そう思わずにはいられないのだ。

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